新本格ミステリに拘泥する (休止中)

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zoom RSS 185 『七人の中にいる』 今邑彩

<<   作成日時 : 2010/05/18 20:16   >>

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★★★☆
十分に「本格ミステリ」であるが、その上で「心理サスペンス」の方が勝っている。どちらが好きでも面白く読めることは請合いだし、それは小説としての「濃度の高さ」も意味する。じっくり腰を据えて読んでほしい。

舞台はペンション「春風」、主人公はそのオーナー・晶子、そこに届くのは葬った過去からの復讐予告…。
「謎」はタイトルの通り、クリスマス&再婚パーティーを控え、ペンションに集まってくる常連客の誰が「復讐者」なのか、当然フーダニットなのだが…。起こる事件の数々は「本格ミステリ」のそれらしくはないが、サスペンスの味を十分に生かし、犯人を絞ることよりその先の展開を期待させる、という作者の「企み」は完璧なまでに成功している。物語の進行とともに、犯人は自然と絞られていく。読者はラストを待たずに「復讐者」が誰なのかは分かるだろう。だが、そこはこの作品の「本分」ではない。メインは常に主人公の「心理」である。
そのため主人公が取る「下手な行動」も、「本格ミステリらしさ」からは外れる。
(事件をその当事者が「愚かさ」で複雑にしてしまう、というのは、個人的には好みではないのだが)

それでもこの作品を「本格ミステリ」たらしめているのは、七人の人物が「犯人足りうる」、そのこと自体ではないだろうか、と思う。それは非常に難しい。そのように書くために、物語は基本的に彼女の一人称で進められている、犯人の候補がひとりひとりと減っていくために、情報は制限されている必要があるからだ。結果、主人公の内部の「揺れ」が浮かび上がる展開となり、それが「心理サスペンス」の書き手としての作者の素晴らしい才能と結びつき、これだけの「展開」を可能にした。
「本格ミステリ」らしいこの「構想」を成立させるための「書きかた」と「展開」を目指した結果、「心理サスペンス」としてこれだけ魅力的なストーリーになった、そうに考えるのはひねくれ過ぎた見方だろうか。

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