新本格ミステリに拘泥する (休止中)

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zoom RSS 186 『盗まれて』 今邑彩

<<   作成日時 : 2010/05/19 02:24   >>

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★★★★
非常に粒の揃った短編集、計8編、初出95年、全て30〜50ページ。読んで損はない。
作者はいわゆる「トリックメーカー」ではない、この作品集に使われるトリックも大きくないものが多い。しかし、「人物や心理」と「トリック」を融合させる、作者得意の作品にはちょうど良いバランスの作品ばかりだ。

こんな書き方が不遜なのは承知だが、「とても上手くなっている」と思った。同じ中公の「そして誰もいなくなる(初出93年)」では、「トリックと心理」の「融合」に物足りなさを感じ、「時鐘館の殺人(短・中編集・初出93年)」では「短編での」、「トリックと心理」の「バランス」に違和感を感じた。だが、本作では「本格ミステリのトリック」と、作者のストロングポイントである「人物と心理の描写」が見事に融合し、そのトリックと物語のバランスが十分に生きる長さ(ここでは短編)に収めてある。

「電話と手紙」が全ての作品を通したテーマになっている、中からいくつかの作品を「薄く」紹介。
「ひとひらの殺意」、美しい作品。手掛かりはひとひらの桜の花びらであり、それによって立ち現れる物語も非常に美しい。30ページだが論理的にも不足なし。印象に残る作品。
「盗まれて」。全編が電話での会話による作品、「リアリティ」を感じるのなら怖い。「盗まれた」物とは…?。
「ポチが鳴く」、ごく家庭的なご近所づきあいの中に入り込んでくる「本格ミステリ」であり「ホラー」だろうか。これもラストが印象的。
「白いカーネーション」、母の日がテーマ。死んだ母親には白いカーネーションを送る、という慣習があることを始めて知った。やはりこれも記憶に残る作品。

これだけ各々に個性的な後味を残す作品の短編集はそうあるものではないと思う。「本格ミステリ」としてのテイストはそう濃くないが、「珠玉の短編集」と形容するのに相応しいような物語の鮮やかさが残る。

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